En Mi Imperio
(1997)
レゲトンのゴッドマザー、Ivy Queenのファーストアルバム。彼女はプエルトリコで生まれたが、17歳まではニューヨークで過ごし、ニュージャージー舞台芸術学校で音楽を学ぶ。18歳でプエルトリコに戻り、最初にレゲトンで成功したグループ”The NOISE”に参加。そこから独立する形で本作でソロデビューを果たした。彼女は当時のレゲトンの主要なテーマの一つであった男性優位性や女性蔑視にうんざりし、女性の視点からレゲトンを発信する先駆者となった。タイトルの”En Mi Imperio”とは「私のいる(男性優位の)帝国」という意味が込められている。彼女は音楽的教育を受けていたので基本的には全て彼女の作詞作曲である。そこにトラックメイクでDJ Nelsonが加わり、斬新で画期的な作品となった。この頃になってようやくHIP HOPの強い影響下から抜け出し、レゲトンは独自性を帯びるようになる。DJ Nelsonのビートプロダクションは従来のDem Bowを洗練し、幅広い層にアピールするエレクトロ・ミュージックに作り替えた。同時に”Underground”に拘泥することなく、一般的な聴衆にまでレゲトンは浸透していく。このアルバムは当時のプエルトリコで破格の売り上げを示したがプロデューサーDJ Negroと金銭的に揉め、彼女はSONY LATINOと契約し、次作以降世界進出を果たすことになる。