Iziho

久高島イザイホー

琉球弧の祭祀

宮里千里

Songs and Prayers from the Iziho Ritual Kudaka Island

先述の如く正月は沖縄を徘徊していたのだが、娘から「斎場御嶽(せーふぁうたき)だけは観といたほうがいい」と言われ拝観に赴いた。琉球王国時代、最高の御嶽とされ、男子禁制の神域だった。近年は沖縄の貴重な観光資源となり、私のような不届き者も足を踏み入れることが可能になった。森林を縫うようにして石畳が続き、最奥部に三庫理(サングーイ)という御嶽の中で最も神聖な拝所がある。巨大な岩石の裂け目であり、そこを潜ると「神の島」と呼ばれる久高島を遥拝することができる、ハズだったのだが「コロナ対策」ということで今回は立ち入り禁止になっていた。正しい判断だと思う。神域に厄を持ち込んではならない。なんなら昔のように男子禁制、スマホも持ち込み禁止にしたほうがいい。私のような一見客が見ても石畳や森林が荒廃しているのがわかる。期間と人数を制限しないとこのまま荒廃が進むだろう。

で、今回、久高島を遥拝できなかったので帰京後”琉球弧の祭祀 久高島イザイホー”というCDを尼でポチって聴いてみた。1978年に宮里千里さんによってフィールドレコーディングされた最期のイザイホーの記録である。イザイホーとは久高島で12年に一度行われる新しい神女(ナンチュ)となるための就任儀礼。78年以降は様々な事情で途絶えてしまった、失われた祭祀の記録だ。女性だけで行われるこの祭祀は祝詞というにはリズム感に富んでおり、高揚感を聴く者に与える。バリ島のケチャに代表される南洋特有のトランシーな側面もあり、琉球という海洋国家の成り立ちを考える上でも非常に貴重な記録だと思う。興味のある方はまずこのCDを買っていただいて、併せて”日本人の魂の原郷 沖縄久高島”という本を読んでみることをオススメします。

UnknownOJI

from North Side Tokyo OJI, wiz LOVE.

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