Lion’s Drums
Kagabas
今回は勝手に日本語タイトルつけさせてもらった。昔の洋楽ロックによくあったヤツね(例:”Raw Power” ≠「淫力魔人」とかね)。本作は2019年5月、コロンビアのサンタマルタのシエラネバダ山脈にあるカガバ(コギス)の村で録音されたフィールドレコーディング素材を、フランスのサウンド・アーティストLion’s Drumsが電子音響を加え編集し、一昨日リリースしたアルバムだ。地図上では”コギス”と表記されるがこれは文明人がつけた地名で、原住民は自分たちを”カガバス”と呼ぶ。よってここでは”カガバス”と統一表記する。このアルバムは鳥のさえずりや虫の共鳴など村の自然音がふんだんに収録されているが、なんと言っても主役は”カガバスのお婆ちゃん”の無垢な歌声である。このお婆ちゃんの歌を中心に音響制作したことで、この作品は凡百のフィールドレコーディング作品とは異質の、エレクトロニクスとネイチャーが共棲する”歌もの”として聴くことが出来る。DAVID TOOPのアプローチの仕方を、より若い感性で表現した作品とでも言えばいいのか。てか、全編聴き終わって強烈な印象を残すのはお婆ちゃんの歌声だから! このカガバスのお婆ちゃんの人生の酸いも甘いも全て経験した者だけが出せる達観した優しき声に、ただただ抱擁されたい。お婆ちゃん、長生きしてね。。。
最後にLion’s Drumsからのメッセージを引用する。”歌うことはカガバスの文化の主な特徴であり、環境とつながる方法と考えられています。たとえば、猿、鹿、ヘビ、笑い、さらには死の歌があります。歌うことは、カガバスが動物や環境・概念の周りで安全を感じ、恐れることなく、また追う必要もなしに、平和に暮らすための方法です。彼らの音楽と歌は、すべて口頭伝承されます。それが記憶、知識、意識を世代を超えて受け継ぐ方法なのです。”
このアルバムはLion’s Drumsによるセルフ・リリース。売上利益は、カガバの木の植え替えと土地を取り戻すための戦いをサポートするために、地元組織にすべて寄付されるとのこと。デジタル配信とともに、100%リサイクル素材を使用したアナログ盤もリリースされる。2021必聴名盤!!!!!!!