Duma
Nyege Nyege Tapesが贈る今年最大の驚愕作がこれ! ケニアのグラインドコア/BLACK METALバンドDumaのファーストアルバム。1曲目からアフリカンドラムとBLACK METALなトレモロリフが交錯。そこにマシンガンのようなブラストビート。すでに未知の領域なのだが、更に2曲目からはBLACK METAL由来のスクリームとグロウルが登場し、不協和音の洪水をシンセが垂れ流す。1曲ずつ解説してるとキリがないのであとはアルバムを聴いてもらうとして、驚きなのはアフリカ伝統音楽とBLACK METALが違和感なく共存してることだ。これはアフリカ人にしか作り出せないBLACK METALなのだ。そもそもBLACK METALにはアンチクライストな側面が多大にある。映画「エクソシスト」でアフリカから悪魔がバッタに姿を変えて来襲する場面があるが、これはそれを音像化したかのようだ。奇しくも今年、アフリカでバッタが大量発生し、ヨーロッパまで危機感に苛まれた。コロナ渦と相まってこのニュースは世界の不安定化を象徴するニュースとなった。”DUMA”とは彼らの現地語で”闇”を意味するそうだ。いろんな意味でBLACK METALをよりBLACKにした音楽だ。黒い黙示録。とここまで書いておいてなんだが、演っている彼らは非常に理知的な若者だ。貧困に喘ぐアフリカ諸国において金銭的にも教育的にも高い水準にあるはずだ。ネットによって世界中が繋がる今、オカルトと言うよりはアフリカのリアルとしてこの音を捉えるべきなのだろう。情報的には既に彼らは第四世界ではない。余談だが、Nyege Nyege Tapesの中では破格のセールスを示している。METALという西側に最も伝わりやすい音楽形態を選択した彼らはやはり理知的にも優れている。