Daddy Yankee

Daddy Yankee

No Mercy

(1995)

プエルトリコの国民的英雄Daddy Yankee。本名Ramón Luis Ayala Rodríguez。プエルトリコのみならず、ラテン・アメリカ圏で最も成功したアーティストである。ビッグネームになった後の彼だけを見て敬遠してる人がいたとしたらそれは滅茶苦茶損をしている(自分もかつてはそうだった)。彼が何故「レゲトンの王」として敬れているか、このファーストアルバムを聴けば一発でわかる。ダンディーヤンキーの歴史はそのままレゲトンの歴史にかぶる。プエルトリコの貧民街に生まれ、浅黒い肌を持つ彼は典型的なボリクア人だった。金持ちになるにはギャングになるか、野球選手となってアメリカに渡るかくらいしか選択肢のない世界。それが”No Mercy”だ。事実彼はメジャーリーグのシアトルマリナーズの入団テストを受けて合格し、あとはアメリカに渡り調印するはずだった。だが、DJ Playeroとのレコーディング休憩中、AK-47で銃撃されその夢は絶たれる。幸い銃弾を受けたのは腰部だったため命に別状はなかったが、その後数年間、銃弾を摘出することもできなかったという。だが神は別の使命を彼に与えたようだ。プエルトリコのチンピラが作る全く新しい音楽”レゲトン”。彼はその存在を世界に認知させるために全勢力を傾けることになる。このファーストアルバムは非常に巧妙に作られていて、1曲目はロック調で始まり突然ポリスの乱入SEで寸断される。そしてHIP HOP、ラガマフィンで高速フロウを披露し、7分に及ぶ最終曲”Raza Unida”ではレゲトンとしか形容しようがない全く新しい音楽スタイルに到達する。プロデュースは盟友DJ PlayeroとNico Canada。それにしてもDaddy Yankeeの高速フロウは凄すぎる。今の温厚そうな兄貴的立ち位置からは想像できない野獣的な一面が彼にはある。決して古びない刺激に満ちた名盤だ。

※現在は廃盤で配信も公式にはされてない模様。

UnknownOJI

from North Side Tokyo OJI, wiz LOVE.

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