Black Nationalist Sonic Weaponry /
Soul-Making Theodicy
「ニューノーマル」っていう言葉が気持ち悪い。だいたい、「緊急事態」宣言しておいて、皆が「ニューノーマル」に慣れすぎて効果がなくなってきたから「緊急事態」解除ってワケわからん。第4波襲来か?って言われてるのに、どんどん「ニューノーマル」のハードルを上げてくつもりなのか。そのうち何でも「ニューノーマル」で済まされるような怖さがあるね。「ニューオーダー」って言葉と同じで、響きがとっても軽くて、耳馴染みがよくって、でも裏に怖い意味が隠されている。とか何とか、言っていますが「ニューノーマル」っていい言葉ですよね! ぼく、ますくしてひととのきょりもあけて、おうちにかえったらてあらいうがいしてるよ! いいこだからほめてよね。
というわけで、ニューヨークのアーティスト、”Speaker Music”の新作が良い。前作のタイトルは”Black Nationalist Sonic Weaponry”、清々しいまでにストレートなタイトルである。アナログ盤には60ページにも及ぶテキストブックがついている。今作のタイトルは”Soul-Making Theodicy(魂創造の神学論)”。こちらはデジタル配信のみでのリリース。音の方は所謂ビートミュージックなのだが、これがあまりに変則的。変拍子ですらない不規則なビートの羅列である。前作ではポエトリーリーディングがあったが、今作ではインストのみ。そしてビートは更に変則化、複雑化している。30分超える”Rhythmatic Music For Speakers (Mk.II)”では背景にうっすらとニューヨークの雑踏が録音されている。変則的ではあるのだが、聴いていると足裏マッサージのように普段使っていない神経を刺激されて非常に気持ちいい。このビート感を私の「ニューノーマル」として、明日からサバイバルしていこうと思う。